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【 お 知 ら せ 】

看護師向け教育セミナーのご案内

NEW  
看護師向け胸膜中皮腫包括ABCケア教育プログラムを開催します。
日時:以下の日程よりお選びいただけます。
①11月25日(土)10:00~14:30
  開催場所 聖路加国際大学
②11月26日(日)10:00~14:30
  開催場所 聖路加国際大学
③11月27日(月)10:00~14:30
  開催場所 ベルランド総合病院
費用:無料

主催:聖路加看護大学 長松康子

写真の説明

'22.5.12 オープンセミナー(zoom開催)のお知らせ
  地域で支えよう 中皮腫患者さんとご家族

 
患者さん、ご家族、支援者、医療従事者、どなたでもご参加ください。
日時:2022年5月12日(木)15:30~17:00 zoom開催
初題者:長松康子(聖路加国際大学国際看護学)

主催:2022年度聖路加看護大学教育センター生涯教育部
   在宅療養コーディネート・ナース養成研修と活動支援/交流会企画

'19.3.10 じん肺・アスベストプロジェクト

 2019年3月10日(日)に、労働者住民医療機関連絡会議(労住医連)と全国労働安全衛生センター(全国センター) の共催で、「じん肺・アスベストプロジェクト」が亀戸のZビルで開催されました。労住医連に加盟する医療機関の 医師等や全国センターに加盟する各地のセンターのスタッフ、じん肺アスベスト訴訟を闘う弁護士、さらに、 アスベストセンター、患者と家族の会、労働組合など約30名が参加して開催されました。
 今回は、①大気汚染防止法改正の現状、②WHOの勧告と英国のアスベスト管理規制、③2017年芦澤論文の検討、 ④石綿肺がんの行政訴訟、⑤石綿肺と間質性肺炎、⑥世界の動向と地域の報告、が行われました。
1 大気汚染防止法改正の現状
 中央環境審議会石綿飛散小委員会等の委員になっている東京センターの外山さんが現状を報告しました。 非公開の委員会もあり必ずしも十分な検討がされているとは言い難い。通常使用時の調査・管理の義務がない、作業場の 測定がなくリスク管理不能、等の課題があり、そして、罰則の強化が必要、等が指摘されていました。
2 WHOの勧告と英国のアスベスト管理規制
 WHOのクリソタイルアスベストについての勧告の報告が、名取医師から行われました。WHOは、すべての アスベスト繊維がヒトにがんを起こし、その使用を禁止すべきという立場で、アスベストに関する勧告していて、基本的 に運動に役立つものであるが、いくつか疑問が残る部分もある、とのことでした。
3 2017年芦澤論文の検討
 「じん肺エックス線写真による診断精度向上に関する研究」(芦澤論文)の報告書について、ひまわり診療所 の平野医師から報告がありました。これは、じん肺管理区分の決定にCTの標準写真を導入しようという意図のもとに行わ れた研究で、結果としては標準写真の選定には至らなかった、しかし、その後も厚労省の委託研究が継続され、CTの導入 をあきらめていない、とのことでした。
4 石綿肺がんの行政訴訟
 石綿肺がんの行政訴訟では、竹井訴訟について菅野弁護士から報告がありました。現行認定基準下での初めて の不支給取消訴訟で、石綿小体5000本未満で不支給となり、裁判ではクリソタイルタイルばく露の5000本基準が 妥当かどうか争われましたが、横浜地裁、東京高裁はこれを妥当と判断し、原告が敗訴しました。原告は最高裁に上告しま したが、最高裁では、現行の認定基準の問題点と被災者の肺がん発症の相対リスクが2倍以上になるかが争点になる、との ことでした。
5 石綿肺と間質性肺炎
 この間、石綿肺であるにもかかわらず、じん肺診査医等によって特発性間質性肺炎と診断され、じん肺管 理1の決定や労災不支給の事案が出ているということで、ひまわり診療所等から事例の報告がありました。
6 世界の動向と地域の報告 
 全国センターの古谷さんがアスベストの国際的な論文を紹介しながら、最新の世界のアスベスト禁止に向 けた動向の紹介がありました。そして、地域の報告で、じん肺基金のニュースNo.21の記事をもとに「横須賀市建築物の 解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例」について、安元が報告しました。
 現在、じん肺・アスベストに関して課題になっている事を中心に、様々な報告があり、充実したプロジェクトでした。
(じん肺基金事務局 安元)

'18.7 横須賀市が条例を制定
  -アスベストの飛散防止に役立てよう-

  2018年7月、「横須賀市建築物の解体工事に伴う紛争の未然防止に関する条例」 が制定されました。この条例制定は「なくせじん肺全国キャラバン横須賀実行委」の長年に わたる交渉の結果、また、2017年に、横須賀市内浦郷地区の市営団地解体工事に関する、 市による周辺住民へのアスベスト説明会に納得できなかった横須賀市民が、市当局との交渉、 市への要望を提起し実現したものです。
 市は「なくせじん肺全国キャラバン」の長年の課題であるアスベスト被害者の予防対 策の徹底、建物に残った建材のアスベスト粉じん対策の徹底と、周辺住民へのリスクコミュ ニケーションによる紛争防止を目途に条例を制定しました。この条例を横須賀市民が有効に 使い、市内のあちらこちらで頻発している解体工事現場から、アスベスト粉じん発生を限り なく抑制すること、飛散防止が急務です。
 この条例は建築物解体工事に伴う紛争の未然防止を目的にしていますので、アスベス ト対策だけでなく、解体工事に伴う騒音・振動や建物の調査などについても、事業者の義務 を示しています。
1.条例の特徴み
 まず、この条例の特徴に住民の規定があります。第3条(5)は近隣住民、周辺住民、 その他住民を規定し、その他住民に周辺学校、保育園、幼稚園等施設利用者が属するとして います。
 第6条第2項では、石綿含有成形板等の適正な処理を指摘しています。レベル3建材 対策について大気汚染防止法では調査義務、掲示義務に限られますが、条例では適正な処理 についても市の行政責務の範疇に加えています。
 第8条では紛争が生じたときに当事者は相互の立場を尊重し、自主的な解決に努めな ければならないとし、事業者等の解決の姿勢を努力義務としています。
 また、第10条、第11条では、大気汚染防止法が義務化している解体工事前のアス ベスト調査、調査結果の掲示についてより詳細に掲示内容を示しています。
 この条例の特徴の一つは、第12条、近隣住民等への説明会等の直接説明の原則義務 化です。大規模建築物の解体等工事は説明を行う日時、場所について、近隣住民及び周辺住民 への文書による通知を原則義務化し、飛散性アスベストを含む解体等工事等については近隣 住民への直接説明。それ以外の解体工事等については近隣住民から文書により説明を求めら れた場合、直接説明を義務付けています。第15条ではこれら説明会開催の報告書を市長に 提出することを義務付けています。
 もう一つの特徴は、第18条第2項、大気中のアスベスト濃度の測定計画の提出を義 務付けました。
 さらに第20条では、「非飛散性アスベスト」除去についての規定を設けました。こ れは大気汚染防止法上を上回る規定で、レベル3建材(アスベスト含有建材)の撤去について 市が行政権限の根拠を持ったものです。
2.他条例との比較
 ほかの自治体にも、それぞれ特有のアスベスト条例があります。しかし、それら条例 は全体としてはまだまだ少数派です。大気汚染防止法では、住民への説明義務やレベル3建 材の届け出義務、工事後の養生検査義務、解体工事や改修工事ではない建物の運用時のアス ベスト対策等がないために、不十分なアスベスト対策工事や対策を全く無視した工事が後を 絶ちません。公共工事でさえそのようなものがたくさん報告されています。このような実態 を補完するために条例が有効です。
 例をあげれば、練馬区条例ではレベル3建材の届け出、建物に使われているアスベス トの調査義務などを規定し、兵庫県条例ではレベル3建材の届け出義務があります。
3.今後の改善点
 横須賀市条例についても今後市民が工事現場で直接使ってみて、不具合、不足部分を 補い、他条例のよいところを取り入れることでより良い条例を目指し、大気汚染防止法改正 へ向けて横須賀市条例が一石を投じることを期待したいと思います。
(中皮腫・じん肺・アスベストセンター事務局長 永倉冬史)

'17.7.15 石綿対策全国連絡会議総会・国際会議

 2017年7月15日(土)、「石綿対策全国連絡会議第29回総会 及び結成30周年記念アジア・世界のアスベスト禁止 をめざす国際会議」が、東京の大岡山にある東京工業大学蔵前会館で開催されました。 第1部は国際シンポジウム、第2部は日本の取り組みと課題、 の2部構成で行われました。今回は、国際シンポジウムの報告をします。
 国際シンポジウムは、石綿対策全国連の古谷さんが司会をつとめ、6人の方から報告を受けました。
1 APHEDAの取り組み
 オーストラリア労組国際協力機関APHEDAのケート・リーさんは、「APHEDAの取り組みと展望-メコン 諸国を中心に、オーストラリアの最近の進展を含めて-」と題して報告されました。ケート・リーさんは、今日のオース トラリアのアスベスト状況として1987年にアスベスト製品の製造がなくなった、45年~87年に建てられた建物 の1/3にアスベストが含まれている等と、「オーストラリアの労組活動家は状況をよく認識し、強力に関与している」「先の 労働党政権は、2012年にアスベスト安全・根絶機関を設立した」ことが報告されました。そして、「アジアにおけるアスベスト 禁止と根絶計画のために連携と圧力を構築する」ことを訴えました。
2 BWIの取り組み
 国際建設林業労連(BWI)アジア太平洋事務所地域教育担当のスリ・ウランダリさんは「BWIの取り組みと展 望-とくに東南アジア諸国における取り組みを中心に-」と題して、アスベスト問題を建設労働者組織化のメイン ストリームにする、加盟組合間の経験交流の促進、地域建設部門労働安全衛生ワークショップ等について話されました。
3 AМRCの取り組み
 アジア・モニター・リソースセンター(AMRC)労働環境衛生プロジェクト担当のオマーナ・ジョージさん は「AМRCの取り組みと展望-とくに南アジア諸国における取り組みを中心に-」と題して、ABAN(アジア・アスベスト 禁止ネットワーク)の結成、AМRCの南アジア(インド、バングラデシュ、パキスタン、ネパール)での活動が報告されました。
4 BANKОの取り組み
 韓国全国石綿追放運動ネットワーク(BANKО)事務局長のチェ・エヨン さんは、「BANKOの取り組みと展望-韓国 における取り組みを中心に-」と題して、自然生成アスベストの問題等について報告されました。
5 ロッテルダム条約
 ソリダー・スイス ディーセントワーク・アジア代表(香港)のサンジ・パンディタさんは、「ロッテルダム条約第8回 締約国会議(COP8)報告」を行いました。その内容は、以下のようなものでした。
 ロッテルダム条約は「一定の有害化学物質の国際貿易における、締約国の責任の共有と集団的努力を促進することを 目的とした多国間条約」で、「物質を禁止することを意味するものではないが、アスベスト禁止運動を強化する」も の。化学物質検討委員会は2005年以来、クリソタイルの追加を勧告してきた。しかし、リストに搭載するには締約国会 議で全会一致でなければならずカナダ、ロシア等の反対でリスト搭載が妨害さてきた。そこで「全開一致が不可能と判明した 場合は多数決によってなされるべきとする、第22条の改正が提案」されたが、投票が行われず先送りにされた。
6 IBASの取り組み 
 アスベスト禁止国際書記局(IBAS)のローリ・カザンアレンさんは「IBASの取り組みと展望-世界をめぐる状況-」と 題して、アスベスト禁止の闘いの歴史を、2004年に東京で行われた世界アスベスト会議や、IBAS組織、参加した会議・セミナー 等々が行われたことが報告されました。
(じん肺基金事務局 安元)

'17.6.19 じん肺基金 2017年度通常総会開催

 6月19日、じん肺・アスベスト被災者救済基金の2017年度通常総会が開催されました。
 総会は、宇野副理事長が議長に選出され、理事長挨拶の後に、議案の提案と審議が行われ、採択されました。第1号議案は2016年度事業報告、特定非営利活動に係る事業として、アスベストホットライン、学校アスベスト問題、石綿含有建材取扱調査等が報告され、その後、1年間を振り返ってとして、アスベスト関係の訴訟、救済法の見直し、旧国鉄・JR関係の動き、アスベストユニオンの活動報告等がありました。第3号議案では、特定非営利活動に係る事業として、ホットライン等の例年の事業の他、「学校のレベル2建材飛散防止及び建築物の石綿飛散防止キャンペーン等への助成に関する事業」、「石綿対策としてのリスクコミュニケーション推進と条例制定をめざす活動」が提案されました。
 第2号議案の2016年度決算報告、第4号議案2017年度予算案は、ほぼ例年通りの決算、予算が提案されました。第1号議案から第4号議案は、提案の後審議が行われ、一括して採択されました。第5号議案は、関係労組の担当の変更等に基づき理事の変更があり、これも提案の後、異議なしで採択されました。
 議案審議の後、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉さんから特別報告として、アスベスト問題について報告していただきました。報告は、中皮腫の死亡数の年次推移、学校アスベスト被害、震災被災地のアスベスト問題、建築物の改修・解体工事の問題等、多岐にわたるものでした。
(じん肺基金事務局 安元)
写真の説明

'17.6.12 住宅でのアスベスト被害

 NHK総合 クローズアップ+現代「”新たな”アスベスト被害~調査報告・公営住宅2万戸超~」(2017.6.12放送)に、当基金の理事・横須賀中央診療所の名取雄司医師がコメンテーターとして招かれました。
 住宅アスベストの健康被害については”住宅の吹き付けアスベストは濃度的には低めといえるが、ばく露時間・期間が長いので一概に危険性が低いとはいえない””住宅アスベスト被害が疑われる場合には、 アスベスト相談を利用してもらいたい。住民の被害の実態が明らかになることで研究もすすんで行政も動いていくことになる”と、住宅でのアスベスト被害の実態を把握することが急務であり、それには住民の協力が不可欠と、専門家としての見解を述べられました。

'17.3.5 じん肺・アスベストプロジェクト

 2017年3月5日(日)、労住医連(医療機関の団体)と全国労働安全センターの共催で、「第28回 じん肺・アスベストプロジェクト」が、亀戸で開催されました。関係医療機関の医師や各地の安全センター、被災者の団体から約30名が参加して、6つの課題(①じん肺審査ハンドブックの改定問題、②石綿肺・肺がん、③地域から、④個別事案検討、⑤既存石綿の問題、⑥国際関連)について協議しました。
 ①審査ハンドブックの改定問題では、CTの導入については、厚労省の研究事業でCTの基準の設定は困難とのことで暗礁にのりあげたような状態ですが、もし導入が強行されるような状況になれば、関係団体で声明を出したり、厚労省との交渉を行なう、ことになりました。
 ②石綿肺・肺がんでは、古川先生から竹井訴訟の報告があり、名取先生からは「退職造船労働者の胸膜プラークの経年変化」の報告、春田先生からアスベストの病理診断の英語論文の紹介がありました。
 ③地域からは、横須賀報告をじん肺基金ニュースNo.19をもとに、アスベスト含有建材調査、横須賀報告会、じん肺キャラバン横須賀行動等についての報告と、横須賀市への「アスベスト健康被害の予防と対策に徹底についての要請」について、安元が報告しました。
 ④個別事案検討では、高知と大分からレントゲン・CTが出され、医師が読影し意見交換が行われました。
(じん肺基金事務局 安元)

'17.2.25 石綿含有建材取り扱い調査 横須賀報告会

 2017年2月25日、東京労働安全衛生センターによる『横須賀報告会 : 建築物解体現場での石綿含有建材取り扱い状況調査と作業者、地域住民への注意喚起活動』が、ヴェルクよこすかで行われました。 参加者は約30人で、建設関係の労働者や事業者、横須賀市議2人が参加するなど盛況な集会でした。
 *東京労働安全衛生センターは、2014年から解体現場の調査を行っています。 当基金は、2016年度の横須賀市内の調査に対して助成をおこないました。
《プログラム》 
 第1部
  ①アスベストについて
  ②神奈川での調査とこれからのアスベスト対策
  ③熊本地震でのアスベスト対策
  ④地域の取り組み
 第2部 ビデオ上映
  「埋もれた時限爆弾~さいたまアスベスト被害」
 第3部
  体験ワークショップ
 第1部「②神奈川での調査とこれからのアスベスト対策」では、東京労働安全衛生センターの外山さんが横須賀での調査結果(9月、12月に実施)を含めて、 建築物解体現場の全体の約2割でアスベスト含有建材の破砕などが見られ、また適切な表示ができていないところは7割あったことを報告されました。 「④地域の取り組み」では、じん肺被災者の会の結成前後からヨコスカでのじん肺・アスベスト問題の取組み、住友・ベース訴訟、じん肺キャラバン横須賀行動、横須賀市へのアスベスト問題での養成、などについて安元が報告しました。 第3部では、防塵マスクの使い方、石綿含有建材の見分け方、が行われました。
(じん肺基金事務局 安元)

'16.2. 解体現場でのアスベスト含有建材の取扱状況調査

東京労働安全衛生センター 外山尚紀
  • 1 東日本大震災でアスベスト調査
  •  私たち東京労働安全衛生センターでは、2011年発生した東日本大震災被災地でのアスベスト調査を3年間実施しました。その結果から、「レベル3」とよばれるアスベスト含有成形板が解体現場で適切に取り扱われずに現場とその周辺に飛散しているおそれがあることが示され、2014年からは被災地の経験を広める活動の一環として被災地以外での解体現場でのアスベスト含有建材取扱状況の調査と作業する労働者への注意喚起を実施してきました。今年度はじん肺・アスベスト被災者救済基金の助成を受けて横須賀市内での調査を実施しています。
     アスベスト含有建材は多くの種類がありますが、最も飛散性が高い「レベル1」である吹付け材と「レベル2」とされる保温材等4種類は飛散性が高く、石綿障害予防規則と大気汚染防止法で届出の義務があります。これら以外の成形板などは「レベル3」とされ、石綿障害予防規則では、散水などによる湿潤化と可能な限り破砕しないで除去する「手ばらし」が義務付けられているものの、届け出の義務はありません。輸入された石綿の大部分は成形板に使用されており、波板スレート、平板スレート、せっこうボード、床用タイル、接着剤などの多種多様な建材などに使用されてきました。木造住宅であっても屋根材、外壁、水周りや火の周りにアスベスト含有建材はたくさん使われています。東日本大震災の被災地では、震災後一斉に始まった解体工事でこれらの成形板等が飛散防止対策を採られずに破砕されるという光景がみられました。
  • 2 2014年から解体現場での調査実施
  •  2014年から実施している解体現場の調査は、8自治体で建設リサイクル法の届出情報を元に解体現場の場所を確認して訪問しました。訪問の際にはパトロールのように「あらを探す」のではなく、注意喚起のためのパンフレットと防じんマスクを配布しながら、現場で働く人の話を聞くようにしました。2014年から15年の結果を表に示します。全体の平均として約2割の現場でアスベスト含有建材の破砕などが見られ、適切な表示ができていたのは約3割にとどまりました。成績が良かったG市とH市は成形板除去の届出が条例で義務付けられている自治体で、逆に成績が悪いのは条例がなく、大気汚染防止法の政令市ではない(自治体にアスベストの窓口がない)自治体でした。自治体の姿勢によって解体現場でのアスベスト含有建材の取り扱いが変わることがわかりました。
  • 3 横須賀市内で調査を実施
  •  横須賀市では9月と12月に調査を実施し、66現場を訪問し、そのうち15現場が解体作業中で、アスベスト含有建材が破砕されていた現場は2現場、適切な表示がされていたのは2現場でした(数字は確定値ではありません。)。問題のあった現場の1つは木造戸建て住宅の解体現場で、重機で建物を壊していましたが、軒下の部分にアモサイトを含むケイ酸カルシウム板という建材があり、それが重機で破砕されていました。使用量はそれほど多くはありませんが、発がん性の高いアモサイトを飛散させてしまいました。作業している人は「石綿はない」と話しており、石綿に関する表示はありませんでした。もう一つの現場は防音シートに覆われて中は見えませんでしたが、外にクリソタイルを含むスレート板が散乱していました。ここには解体についての表示もありませんでした。表示が不十分な現場が多く、作業者の関心が低いことが気になりました。
     私たちは3年間に11の自治体で調査を実施してきましたが、アスベスト含有成形板の取り扱いは問題があり、解体現場での飛散が懸念される結果となっています。自治体での条例の制定、国での法律による規制が必要です。
    表:建設リサイクル法調査結果一覧
    自治体 訪問件数 解体中件数 問題辞令の件数(割合) 適切な表示件数(割合) 条例 大防法政令市
    A市 37 15 8(53.3%) 1(6.7%) × ×
    B市 106 34 11(32.4%) 3(8.8%) ×
    C区 78 28 7(25.0%) 9(32.1%) ×
    D区 70 26 6(23.1%) 2(7.7%) ×
    E市 79 17 3(17.6%) 1(5.9%) ×
    F区 78 19 2(10.5%) 10(52.6%) ×
    G市 120 30 2(6.7%) 17(56.7%)
    H市 63 26 1(3.8%) 18(69.2%)
    631 195 40(20.5%) 61(31.3%)      


【 書 籍 の 紹 介】

 アスベストに関する報道がされていても、なかなかどういったものか知識が得られないのが現状です。そこで、皆様のアスベストや、じん肺の知識をひろめられる一端にもなればと思い、 書籍を紹介させていただこうと思います。書店にて手にとって一読してみてください。

 なお、お勧めの書籍がございましたら、メールにてご一報ください。よろしくお願いいたします。

写真の説明

「患者さんとご家族のための 胸膜中皮腫 ハンドブック 第3版」

 《症状・原因・治療法など わかりやすい情報を掲載》
 監修:藤本伸一(岡山労災病院)
 このハンドブックは【看護師のための中皮腫情報サイト】で公開されています。
 *上記サイトには、看護師向けのケアガイドも掲載されています。
 *医療&ケア従事者の方々も、ぜひご覧ください。

写真の説明

「アスベスト読本 -造船の街からの警鐘」

 著:名取 雄司
 編:じん肺・アスベスト被災者救済基金
 はじめてアスベスト問題に触れるかたにも、わかりやすく解説されています
 価 格: ¥ - (絶版)
 単行本: 24ページ  商品の寸法: B5版(25.7 x 18.3 x 0.3)cm
 出 版: じん肺・アスベスト被災者救済基金 (1998/04)

写真の説明

「明日をください -アスベスト公害と患者・家族の記録」

 著: 今井 明
 ・・ 著者からのメッセージ ・・
 クボタショックから一年、アスベスト被害者の声に耳を傾け、その切なる願いに応えようとこの本は出版されました。 孤立・分散している一人一人の被害者がつながり一つの思いの下にという意味で「明日をください!」というタイトルが付けられました。 そのような思いをもった著者が写真を撮る中で出会ったときの感動が写真と文によって記録されているからです。 その被害の深刻さや悲惨さが言われる中で、一人一人の被害者がどのように生き、どのように闘ったのか。家族の支え、 遺族の悲しみ。明日を奪われたが故に明日を思う人たち。この本は、私たちがアスベスト被害で何を知り、 何を伝えなければならないかを改めて考えさせてくれます。
 この本を読んで、その被害の現場が突き付ける重い現実にたじろぐ方がいるかもしれません。 でも、そこから決して目を背けないでもらいたいのです。なぜなら、静かな時限爆弾=アスベストは健康な今のあなたの明日を奪い続けているのですから。 そのようにアスベスト被害を他人事ではなく自分のこととして考える人に、この本はきっと勇気を与えてくれるに違いありません。 逆境にあればこそ人は本当の明日を見ることができるのではないでしょうか。
 「明日をください!」というアスベスト被害者の思いはアスベスト公害国となった私たち国民全体の 思いともしなければならないのです。この本を是非、買って、読んで、そしてあなたの家族に、あなたの親しい友人に勧めてください。
価 格: ¥ 1,500
単行本: 108ページ 商品の寸法: 25.6 x 18.2 x 0.8 cm
出 版: アットワークス (2006/10)   ISBN-10: 4939042200   ISBN-13: 978-4939042201

写真の説明

「実践!!建設業のためのアスベスト対策 -被害者にも加害者にもならないために-」

 編: 中皮腫・じん肺・アスベストセンター
    東京労働安全センター
    建通新聞社
価 格: ¥ 1,995 (税込)
単行本: 115ページ 商品の寸法: A5版(20.4 x 14.8 x 1.6 cm)
出 版: 建通新聞社 (2007/02)   ISBN-10: 4903437035   ISBN-13: 978-4903437033

写真の説明

「図解 あなたのまわりのアスベスト危険度診断」

 編: 中皮腫・じん肺・アスベストセンター
 ・・ 著者からの内容紹介・・
 天井、床、屋根、外壁……あなたの身近には、危険なアスベストがいっぱい! 図解写真満載の「建物の年代・種類別チェックリスト」で、いますぐ徹底診断しよう。 危険発見後の対処法も詳しく解説。 「これで安心!」の一冊です。
 アスベスト問題に30年前から取り組んできたセンターならではの実用的ノウハウを披露。 新築、リフォーム、賃貸入居時に。 子どもを安心して学校に通わせるためにも必読!
価 格: ¥ 1,260 (税込)
単行本: 95ページ   商品の寸法: 18.8 x 13.1 x 0.8 cm
出 版: 朝日新聞社 (2005/12)   ISBN-10: 4022500816   ISBN-13: 978-4022500816

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「ノンアスベスト社会の到来へ―暮らしの中のキラーダストをなくすために」

 編: 中皮腫・じん肺・アスベストセンター
    石綿対策全国連絡会議
 ・・内容紹介(「MARC」データベースより)・・
 殺人粉じんと呼ばれるアスベストで深刻化している健康被害。様々な立場からの現状報告と、現場での経験に基づく対策提案を行い、 ノンアスベストへのこれからの取り組みを展望する。
価 格: ¥ 1,260 (税込)
単行本: 126ページ 商品の寸法: 21 x 14.6 x 1.4 cm
出 版: かもがわ出版 (2004/11)   ISBN-10: 4876998450   ISBN-13: 978-4876998456

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「 [改訂新版]職業性石綿ばく露と石綿関連疾患 -基礎知識と労災補償-」

 編: 森永 謙二
 ・・ 内容(「MARC」データベースより)・・
 石綿の基礎知識や石綿関連疾患の医学的解説、その労災補償について事例も含めてわかりやすく解説。 発症と業務の因果関係の判断が困難な石綿関連疾患及びその労災補償に関する正しい理解を深める書。 2002年刊の改訂新版。
価 格: ¥ 4,000 (税込)
単行本: 370ページ    商品の寸法: 21.4 x 14.8 x 2.6 cm
出 版: 三信図書; 改訂新版版 (2005/03)   ISBN-10: 4879211877   ISBN-13: 978-4879211873

写真の説明

「アスベスト汚染と健康被害」

 編: 森永 謙二
 ・・ 内容(「MARC」データベースより)・・
 中皮腫患者が関連工場周辺住民にまで広がり、汚染と健康被害は新たな段階を迎えている。
 アスベストとはなにか。 各国における被害と規制状況、診断と治療、除去・廃棄物処理とばく露防止対策、リスクアセスメントなどを解説。
価 格: ¥ 2,310(税込)
単行本: 240ページ      商品の寸法: 20.8 x 15 x 2 cm
出 版: 日本評論社 (2005/12)  ISBN-10: 4535584613  ISBN-13: 978-4535584617

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「アスベスト対策をどうするか」

 編: アスベスト問題研究会
      神奈川労災職業病センター
 価 格: ¥ 824(税込)
 単行本: 130ページ 商品の寸法: 21 x 14.6 x 1.4 cm
出 版: 日本評論社 (1988/07)  ISBN-10: 4535577307  ISBN-13: 978-4535577305

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「アスベスト対策ハンドブック」

 編: アスベスト問題研究会
 価 格: ¥3,200(税込)
 単行本: 260ページ
出 版: ぎょうせい (2007/03)  ISBN-10: 4324081530  ISBN-13: 978-4324081532

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「四国トンネルじん肺訴訟―不治の病、黒い肺の告発」

 編: 四国トンネルじん肺訴訟徳島弁護団
 ・・ 内容(「BOOK」データベースより)・・
 病床にある山奥の原告を訪ね、記憶の糸をたぐって事実を掘り起こす。勉強会を重ね、 新しい法解釈を見つけだす。東京へ何度も足を運び、被告企業に解決を迫る。数度にわたり全国キャラバンを組織し、 世論に訴える―不可能を可能に変えた7カ年に及ぶ闘争の貴重な記録。
・・内容(「MARC」データベースより)・・
鉱山の職業病として知られるじん肺。訴訟は全国で15を数えるが、 四国では初めてトンネル工事の現場が舞台となった。地元で今は町長を務める元週刊誌記者が、 山村出身の原告たちの歩んだ軌跡を、豊富な取材で明らかにする.
 価 格: ¥ 2,100(税込)
 単行本: 326ページ 
出 版: 亜紀書房 (2003/12)  ISBN-10: 4750502073  ISBN-13: 978-4750502076

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